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比較的タイムリーな話題をじっくり取り上げる「長考型」ブログです。
スポーツは自由民主主義の産物であり、サラブレッドの血統は歴史的建築物に等しい文化遺産である、という考え方に基づいて執筆しております。
まれに勘違いをしている読者がいて困惑するのですが、これはただの一般市民のブログです。プロの物書きでもないので、自由に気楽に、あくまで趣味の範疇で書いております。サッカーについて書くのは、賃金を得ない門外漢の一般素人ファンでもこのレベルの文章は書けるという実践を通して、スポーツ紙記者等へのアンチテーゼとなるかと考えて当初より継続しております。
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種牡馬にすると6000万円の負債?

2011.04.13 Wednesday 08:00
競馬関係の報道ニュースを見ると、

〇〇〇〇引退、乗馬に(xx日)
xx年のG3〇〇記念に優勝した〇〇〇〇(牡6歳、栗東・△△厩舎)はx月x日付で競走馬登録を抹消、今後は北海道・〇〇の〇〇で乗馬となる予定。JRA通算成績14戦3勝。

というパターンが定番になってきました。

競馬ファンの発想だと、「なぜ種牡馬になれないのだ?」という疑問、願望、怒りなどがあるかも知れません。
これは競馬社会のシステムが大きく変わってしまった現在、「種牡馬になれば、第二の人生が待っている」というのはもはやノスタルジーでしかないという現代の常識を具体的に解説してみたいと思います。

シミュレーション
<愛馬がめでたく高松宮記念を勝ちました。秋はスプリンターズSを4着、香港スプリントを8着として、年末に引退を決定しました。>

「さあ種牡馬にして、第二の名馬を誕生させよう!」
馬主の夢の実現です。
種付け料はリーズナブルに50万円に設定しました。


種牡馬を持っただけでは産駒を得ることはできません。
仔を取るために何頭かは自分で繁殖を用意する必要があるでしょう。
ここでは控えめに3頭の繁殖を持つというプランで考えてみましょう。
(ここは自分で走らせていた牝馬ないし、知人から譲り受けたという事にして、導入の初期コストを0とします。)


種牡馬預託料 月40万円×12ヶ月=480万円
繁殖牝馬預託料 月15万円×12ヶ月=180万円 ×3頭=540万円
合計1020万円

これが毎年の固定経費です。
これは、とても安く預かってくれるスタリオンと、とても安く預かってくれる生産牧場と契約できたというパターンですので、普通であればもっと費用はかかると考えておくべきです。

2年目になると、当歳が誕生します。

2年目経費
当歳預託料10万円×9ヶ月=90万円 ×2頭=180万円
合計 固定費1020万 +180万=1200万円

3年目になると、種牡馬の産駒が市場にも登場します。
ここは種付けしてくれたお礼の意味も込めて、300万・200万で2頭を安い値段で購入した事にします。
3年目経費
当歳預託料 10万円×12ヶ月=120万円 ×2頭=240万円
1歳預託料 10万円×12ヶ月=120万円 ×2頭=240万円
1歳市場購入 300万円+200万円 =500万円
合計 固定費1020 +240+240+500 =2000万円

いよいよ4年目となると、初年度産駒がデビューに向けて育成を開始します。
ここでは最も安く上げるパターンとして、道営に育成を委託するプランで計算してみます。
(通常であればこの2〜3倍がざらです。)
4年目経費
当歳預託料 10万円×12ヶ月=120万円 ×2頭=240万円
1歳預託料 10万円×12ヶ月=120万円 ×2頭=240万円
2歳預託料 15万円×6ヶ月=90万円 ×4頭=360万円
厩舎預託料 70万円×6ヶ月=420万円 ×4頭=1680万円
合計 固定費1020万 +240万+240万+360万+1680万 =3540万円

期間中の支出
1020万+1200万+2000万+3540万 =7760万円

収入の部分で、「産駒が賞金を稼いでくれる」という期待はありますが、昨今は優れた種牡馬の産駒が新馬戦から未勝利戦までうじゃうじゃ登場します。
現実的に普通の種牡馬の産駒は「未勝利戦の出走手当20万円」が5回程度しか期待できません。100万円×4頭で400万円程度の回収となるでしょう。

次に種付け料収入があります。
短距離馬であれば、世界的に価値のある血統でもなければ、15頭、8頭、4頭、4頭、という程度が普通でしょう。
(2年目から価格ダウン、年々頭数が50%減という種付け頭数は種牡馬として最も一般的なパターンです。)

自家用繁殖に毎年3頭種付していますから、実質は12頭、5頭、1頭、1頭が種付け収入が得られる頭数という事になります。

種付け料収入
50万×12頭=600万円
30万×7頭=210万円 合計 810万円

最終的な収支は下記のようになります。
種付け収入810万円+賞金400万円 −費用7760万円 =▲6550万円

「1頭の自家用種牡馬の産駒をデビューさせる」というだけでトータル6000万円以上の負債。
都会で大きめの家一軒買えるだけの金額です。
社会人として冷静に考えると、これだけの負債を本業で回収するのは至難のことであるのは誰でも理解できるでしょう。

また同時に、これを「馬の賞金で取り返す」という事も準オープン〜重賞クラスの上級馬がいて初めて成り立ちますから、大変難しい事だと言わざるを得ません。


いっその事、この4年間動かずに資金をストックして6000万円でセレクトセールで一気に勝負した方が余程素晴らしい馬を獲得することができるでしょう。

また4年目の経費3540万円があれば、「400万円クラスの馬が8.8頭買える」計算になります。
つまり、ささやかながら種牡馬を持つ、という事はそれだけの負担に耐える事が求められるのです。

この負担は、かなり熱心な個人馬主の活動1人分に匹敵する規模です。
またこれこそが「G1馬を持っていた馬主が種牡馬を持ったと同時に、競馬場から姿を消す」というロジックの真意なのです。


1頭の馬を種牡馬にするという事には、これだけのリスクを検討した上で決断することですから、誰であれ一定以上のリスペクトが必要であると思います。

また同時に、「種牡馬にすればいいのに」という競馬ファンの願望は、「競馬場でよく見かけた個人馬主の姿が消える」のと同質の重みを持っている、という事を知っておくべきだと思います。


個人馬主が成功しない種牡馬を1頭抱えるということは、そのまま競馬場での活動停止を意味し、その空席はまず間違い無く社台グループが埋めていきます。

競馬場でいろんな産駒を見たいという競馬ファンの夢は、「社台グループの寡占化、バラエティに欠けた競馬の連発」という実に皮肉かつ冷酷な形で跳ね返ってくるのです。

「どうでもいい」「関係ない」、この話題に際して競馬ファンのあなたが腹立ちまぎれに唱えた魔法の言葉は、あなたの願いとは正反対の現実を生み出すのは間違いありません。

JUGEMテーマ:競馬
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コメント(対話する姿勢のある方優先。)

そろそろ預託料は本当に適正な価格なのかどうか問う時期に来ているのかも
| 噴霧 | 2011/10/30 9:35 PM |

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